右足切断 落下星さんの糖尿病合併症体験談

<はじめに>
こちらは以前「落下星」さんという方がご自身のサイトに書かれた記事を転載したものです。
転載・引用を許可されておられますが、ご本人がもう亡くなられておりいつ消えてしまうかわからないため、残しておくために、ここに転載します。
http://rakkasei.syogyoumujou.com/index.html

「楽観視するとこうなる」という、悪い見本としてご紹介します。
大変な危機意識の薄さにより身をほろぼした方です。読んでいくとその楽天家ぶりに良くも悪くも驚かされます。

亡くなられた方をこのように書くのは気が引けますが、客観的に見てたいへん愚かな糖尿病患者と言えるでしょう。
しかし、彼はこうも書かれております。

私を「おろかなやつ」と笑って結構です。でも、あなた自身は

絶対に同じ道をたどらないと約束してください。本当にお願いいたします。

今回は、彼が右足を切断した際のお話です。彼はこのあと、両足とも切断することになります。



右足切断


右目の視力を失ってから、「つぎは足にくるな」と思っていたのですが、私は足が壊疽(「えそ」と読みます。腐ってくる事。)を起こす恐怖よりもアルコールの魅力の方が強かったので、食事は注意していたのですが、飲酒はやめられませんでした。(^_^;)


事の始まり

ある日、右足の親指の付け根附近が痛み出しました。体重をかけたり、飛び跳ねたりすると、ちょうど打ち身やねん挫のような痛みがあります。

「まさか壊疽・・・」

と、恐る恐る右足を見たのですが、外見上はなんの異常もありません。

マッサージをしてみても、強く揉まない限りさほど痛くはありませんでした。

「しらない間にどこかにぶつけたのかな?」

と、ひとまず安心してしまいました。

もしもこの時点で医者に行き、詳しく検査してもらえば、右足の切断にはならなくて済んだ可能性が強いのです。

しかし、私はそのまま忘れてしまったのです。(^_^;)



親指が真っ黒

それから4~5日もたった頃でしょうか。だんだん痛みがひどくなりました。

入浴したついでに、親指を見ると、つめの下の部分が真っ黒に変色しています。

「うわあぁぁ~~~っ、やったなっ」

それまでも毎日入浴はしていたのですが、目が悪いせいか、気が付かなかったのです。それでも、歩かないと痛みはありません。糖尿病から来る神経障害のせいです。本当に手後れになるまで痛みを感じないので困ったものです。

やっと覚悟を決め、翌朝、足をひきずりながらタクシーに乗って病院へ。



そく「入院」まずは薬で・・・

ドクターは一目見ただけで「すげーなぁーっ、歩けないだろ」

で入院し検査・・・・ 

「だめだと思うけど、薬でつまった血管を洗い流してみる。」

とのこと。ささやかな期待をもって病院での生活が始まりました。

しかし、いつもの(?)入院と比べて、自由に歩けないのには困りはてました。

検査でもトイレでも、看護婦さんを呼んで車椅子で運んでもらいます。

検査や生理現象の時には私も気が楽なのですが、たばこが吸いたいときは・・・あれだけやめるように言われていたのに1日6箱(タイプミスではありません)も吸っていたヘビースモーカーにとっては地獄です。

それでも1日2箱のペースで吸い続けていました。ちなみに現在(97/11)現在では1日5箱程度に戻っています。(^_^;)



いよいよ切断

入院して2週間。容体は改善するどころか、毛布をかけただけでも激痛が走るようになってしまいました。(^_^;)

もう限界です。切断のための準備が始まりました。

医師「さて、どこから切ろうか」

私「おまかせします」

医師「足首から切ってもいいんだが、再発しやすいから安全策を取るなら膝下からだな」

私「切るのは痛いんでしょう?」

医師「まあ・・・。麻酔はかけるし、飲み薬もだしてあげるよ」

私「2度も痛い思いをするのはごめんですから膝でお願いします」

医師「でも、かかとで切れば後が楽だけど膝下で切ると義足が大変だよ」

私「とにかく痛いのはイヤなんです。バッサリやってください。」

担当医は実際には、外来で来ている整形(形成)外科の大学の先生までよんでけっこう真剣に検討したんですよ。あはははは。

え?私にはドクター同士の話は難しくてわかりません。(^_^;)

手術中

手術は半身痲酔で行いましたが、半身痲酔とは言っても、意識は混沌としてほとんど何も覚えていません。なにやら、「もう少し上から・・・」とか、「ここをもう少し削って」とか・・・・聞こえたような気が・・・・・・



傷が癒えたら義足の製作・そしてリハビリ

麻酔から覚めてみると傷の痛みもさほどではありませんでした。

痛み止めの飲み薬も当日の夜に飲んだだけですみました。(^_^)/

ある日の夜中。ねぼけたままトイレに行こうとベットから降りたとたん

ばったーん。(><)看護婦がとんで来て起こしてくれましたが、痛いの痛くないの・・・悲しいやら、情けないやら・・・(;_;)

(同室のみなさん、おさがわせいたしましてゴメンナサイ)

糖尿病だと傷のなおりが遅いのでしょう。傷が塞がるまで1ケ月半もかかってしまいました。その間、転ぶこと3~4回。転び方も次第にうまくなってきました。

傷が塞がると義足の製作です。足型を石膏でとってプラスチックで整形します。義足屋さんが、週に一度しか来ないので、なかなか先が見えません。

入院中、一番イライラしていた時期です。義足ができるまでは、松葉杖を中心にリハビリを行います。足の筋肉が弱くなると義足が来ても歩けないとのことでした。



おあとがよろしいようで・・・

ここから先はリハビリのお話になるのですが、糖尿病会議室のみなさんには不必要な話だと思いますのでカットいたします。

義足ではしゃがめないので、トイレは洋式しか使えません。(;_;)

また、慣れのせいでしょうが、上手な人は義足でも杖なしで階段を昇り降りできますが、切断後満2年の私はいまだに松葉杖がないとどこにも出かけられません。

お金さえ出せば、各種スポーツ用の義足も手に入れられますが、いい値段です。



【車椅子と松葉杖】

手押しの折り畳み車椅子はスチール製でも20kg程度、アルミ製だと15kgを切る重さ。

駅の階段などは3~4人の人にたのめば座ったままでもかつぎあげてもらえる。

電動車椅子については別ページに詳しく掲載してあります。



☆ 次ページのお知らせ ☆

右目の視力を失ったときにドクターから

「網膜の細胞と腎臓の細胞は組織が似ているから透析にならないように」

と注意されていたのですが、とうとう昨年からは血液透析をするようになってしまいました。(^_^;)

PS,糖尿病は全身の血管をもろくする病気ですから、合併症も毛細血管からやられて行きます。

とは言っても、どの毛細血管がもろくなっているかは個人差がおおきいのです。

私は 右目 → 神経障害 → 腎臓 → 右足 → 透析 → 左目 の順で現れましたが、どこが最初にくるかは人により異なります。

十分御注意ください。では、おだいじに。


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